2024年版「イベント・セミナーマーケティング動向調査レポート」
こんにちは! 株式会社ダブルエムの安井です。2024年もいよいよ終盤。私たちダブルエムでは、今年も多くのお客様とともにイベントを企画・運営してきました。そこで得た知見の中から、2024年のセミナー・イベントマーケティング動向を5つのトピックに分けて総括してみたいと思います。
今年の特筆事項としては、「オンラインとオフラインを融合するハイブリッド開催」や「ショート動画を使った集客プロモーション」が一段と当たり前になったこと、そして「SNSで個人の影響力を活かす動き」がさらに加速した点が挙げられます。また、ダブルエムとして注目しているのは、企業が自社の節目をうまく活用してビジネス成果を高める取り組み――いわゆる「周年イベント」なども含めた“節目プロモーション”です。こうした企業の節目は、必ずしも「創業◯周年」だけとは限りません。新プロダクトの発表や代表交代、新ブランドの立ち上げなど、企業が“次のステージ”に進むためのアクションとして、イベントの活用が広がっています。
さらに、2023年から注目を浴び続ける生成AI(ChatGPTなど)も、業務の効率化を後押ししており、運営スタッフや集客担当が本来の企画・演出面に集中しやすくなっている傾向が見られました。来年(2025年)は企業の“代替わり”や市場の移り変わりが一層進むと予想されるだけに、セミナー・イベントマーケティングの進化はまだまだ続きそうです。それでは、早速2024年を振り返っていきましょう。
1. ハイブリッド開催が定着:オンライン×オフラインの最適化
1-1. オンライン開催の功績と課題
まず最初に注目したいのは、コロナ禍が明けつつある中での「オンラインとオフラインのバランス」についてです。2020年から2023年にかけ、ZoomやTeamsを活用したオンラインイベントが一気に普及し、移動や会場費を抑えられるメリットが広く認知されました。また、オンライン化によって遠隔地や海外からでも参加しやすくなるという利点が多くの企業を後押しし、「オンライン開催こそ主流になるのでは」と言われた時期もありました。
しかし2024年現在、コロナ禍が収束に向かうにつれ、「やはりリアルの空気を感じたい」「対面ならではのつながりや熱量を求めている」という声が急速に高まっています。弊社のクライアント企業様の中にも、「以前はオンライン一択だったが、今はオフラインを中心に戻しつつある」という方が少なくありません。一方で、「情報収集だけが目的」「時間とコストを極力抑えたい」というお客様には、オンラインのほうが相性が良いケースもあるのも事実です。
こうした背景から、次に台頭してきたのが「ハイブリッド開催」です。
1-2. ハイブリッド開催のメリット
「ハイブリッド開催」とは、オフライン会場でのイベントを軸にしつつ、オンライン配信や録画を活用する形式を指します。両者の長所を融合できるため、弊社でも下記のようなメリットを実感しています。
- 参加可能層の拡大
遠方や海外から参加が難しい方でも、オンライン枠を用意することでハードルが下がる。結果として、イベントの認知度と集客数を高めやすい。 - コミュニティ形成の二段構え
イベント前にオンラインで顔合わせを行い、本番でリアル会場に集まることで、既にコミュニケーションが取れている状態を作りやすい。相互理解が深まり、当日の交流もスムーズになる。 - 演出・コンテンツ活用の幅が広がる
会場では大画面・リアルステージの迫力を生かし、オンライン参加者には同時配信やチャット機能でリアルタイムの反応を集めることが可能。
また、録画データを後日配信することで、参加者以外にもアプローチする二次利用の余地が大きい。
1-3. 現在の状況と今後の課題
2024年末時点で、ハイブリッド開催に必要なノウハウはかなり普及し、弊社にご依頼いただくクライアントの皆さまも、「まずはハイブリッドで検討したい」とおっしゃるケースが増えました。一方、課題としては「配信スタッフの確保」や「現地とオンラインの進行をどう同期させるか」といった運営体制の強化が挙げられます。
また、コロナを経て「対面での交流こそが楽しさ・学びやすさにつながる」と感じる参加者が増えていることも注目すべきです。実際、「オフラインセミナーは思ったよりも“楽ちん”」とおっしゃる声を聞く機会が多くなりました。これは、雑談や名刺交換、休憩中の何気ないコミュニケーションがオンラインよりも自然に生まれやすいため、「想定外の出会いや情報が得られる」喜びを再確認している方が増えているのだと思います。
総じて、ハイブリッド開催はオンラインとオフラインの“使い分け”がポイントになりそうです。濃い交流や深いディスカッションを求める参加者にはオフラインが向いており、気軽に学びたい方にはオンラインが最適。両者をうまく組み合わせることで、参加者満足度を高め、今後もリピーターや口コミを増やす仕組みを作れると考えています。
2. ショート動画がプロモーションの主役に:告知手法の多様化
2-1. TikTokとInstagramのアルゴリズム変化
次に取り上げたいのは、ショート動画によるプロモーションの定着です。TikTokやInstagram Reels、YouTubeショートといった短尺動画プラットフォームがコロナ禍以降さらに勢いを増し、2024年に入っても大きな注目を集めました。企業や団体が、イベントやセミナーの告知をショート動画で行うケースが急増しているのです。
ただし、今年はTikTokとInstagramそれぞれでアルゴリズムが変化し、「初心者優遇が薄れた」「良質なコンテンツが着実に評価される時代になった」といった声が増えています。弊社では、TikTok運用をサポートしているクライアント企業様がいくつかありますが、そのうちの一つで「決算報告書の読み方」という比較的真面目なテーマの動画が想定外の反響を呼びました。つまり、エンタメ系でなくとも、視聴者にとって「役立つ」動画であればしっかりバズる余地があることを示す好例だと考えています。
2-2. Instagram Reelsがビジネス告知の本命に?
Instagramはビジュアルプラットフォームとしての特性を生かしながら、リール動画への優遇を続けており、ビジネスアカウントでも一定以上の拡散が期待できる状態です。初投稿でも数万リーチを獲得する事例が当社クライアントの間でも多数出ており、イベントやセミナー用ランディングページへの誘導に成功している例が目立ちます。
ショート動画の良さは、“短い時間で強いインパクトを与えられる”ことに尽きます。テキストや静止画では伝わりにくい登壇者の声や表情、セミナーの雰囲気を瞬時に視聴者へ届けることで、「このイベントなら行ってみたい」「このセミナーを受けてみたい」というモチベーションを生む力が大きいと感じています。
2-3. 原点回帰:結局“質の高いコンテンツ”が勝つ
近年「初心者が簡単にバズる」と言われてきたTikTokですが、2024年頃からはアルゴリズムが成熟し、“良質なコンテンツ”が正当に評価されやすい傾向へ移行しています。これは、企業がビジネス利用する上でもチャンスと言えます。たとえ派手なエンタメ要素がないとしても、実用性や学習要素を含んだ動画は十分に拡散が期待できるからです。
弊社がセミナーマーケティングの観点でショート動画を活用する際は、講師・登壇者が直接出演する映像や、セミナーの見どころを凝縮したダイジェストを強く推奨しています。30秒~1分程度の尺でも、「こんな先生なら分かりやすそう」「こんな空気感のイベントなら楽しそう」と視聴者に思っていただければ、そのままLP(ランディングページ)へ誘導して申し込みに繋げることが可能です。
3. 個人のブランディング力:企業ブランドを超える集客導線
3-1. 個人の影響力が際立つ時代
2024年は、「個人の影響力がさらに高まった」と強く感じる一年でもありました。SNSやYouTubeを通じて何万人ものフォロワーを抱える経営者やコンサルタントが、自身の発信のみでセミナーを満席にしてしまうような事例は珍しくありません。企業の公式アカウントよりも、代表者や特定メンバーの個人アカウントのほうが遥かに強い集客力をもっているケースも増えています。
3-2. 企業が取り入れるべき施策
こうした背景を踏まえ、企業がセミナーやイベントを開催する場合、「企業ブランドに頼りすぎず、個人のブランディングを活かす」姿勢が大切だと考えます。具体的には、以下のようなアプローチがあります。
- 代表・主要メンバーのSNS運用を強化
企業アカウントだけでなく、社長やチームリーダーが日頃から自身の思想や知見を発信し、コミュニティを育てておく。 - インフルエンサーとのコラボ登壇
テーマに合った影響力のあるゲストを呼び、トークセッションを行う。これにより、そのインフルエンサーのファン層がイベントに関心を持ち、認知拡大が期待できる。 - ストーリー型の告知
ただ「企業主催セミナーがあります」という宣伝ではなく、「代表者がこんな想いで企画しました」「講師が過去にこんな苦労を乗り越えたストーリーがあります」といった個人的・人的要素を前面に出すことで共感や興味を引き出す。
3-3. 課題と今後
一方で、個人のブランド力に依存しすぎると、当人が退任・離職した際に企業としての基盤が残りにくいというリスクがあります。今後は、個人と企業ブランドをどう共存・共栄させるかが大きなテーマになるでしょう。しかし、少なくとも現段階では、「個の影響力を活かせる企業のほうがセミナー集客で有利」という流れは、2025年以降も続くと予想されます。
4. 企業の“節目”をビジネスチャンスに変える:周年イベント・代表交代など
4-1. なぜ“節目”に注目するのか
ここからは、弊社ダブルエムが特に力を注いでいるテーマです。企業には、創業何周年や代表交代、新サービス発表など、様々な“節目”が存在しますが、それらを「ただの報告・行事」で終わらせるのは非常にもったいない」と考えています。節目こそ、企業が大きくステージを上げるチャンスになり得るからです。
4-2. 具体的な“節目”活用法
- 周年イベントをマーケティングの起爆剤に
たとえば「創業10周年記念イベント」と銘打ち、お得意様やメディア、潜在顧客を招待して、新サービス発表やこれまでの歩みをプレゼンテーションする。感謝と同時に、これからのビジョンを強く打ち出す好機になります。 - 代表交代の発表を積極活用
通常であれば「社長が交代しました」と社内外に通知する程度ですが、これをイベント化して、「新しい経営陣がどのような方向性を示すのか」を訴求し、業界やメディアの注目を集めることもできます。特に、社内モチベーション向上の面でも大きな効果が期待できます。 - 事業再編やM&A後の発表会
大きな組織変更やM&Aがあった場合も、相手先企業や株主、顧客に向けた場を設けることで、信頼感の醸成やブランド再構築に繋がります。
4-3. ダブルエムの視点
弊社では、こうした“節目”イベントを「成果重視」でプロデュースすることを得意としています。たとえば、周年イベントに関してはただのお祝い・パーティーで終わらせず、新規顧客の開拓や既存顧客との関係強化に直結させる仕掛けを随所に盛り込む設計を行っています。そのためには、集客や企画演出だけでなく、イベント後のアフターフォローやビジネス導線をどう作るかが重要です。
実際、弊社でサポートしたクライアントの中には、「周年イベントでの発表をきっかけにメディア露出が増えた」「VIP顧客を獲得できた」「社内での結束力が高まった」といった事例が多々あります。つまり、節目を最大限に活かすことこそ、企業が“次の10年”に飛躍する鍵になり得るのです。
ダブルエムが今年支援した社長の卒業式
5. AIがイベント運営をサポート:自動化・効率化の波
5-1. 2023年から加速したAI活用
2023年前後から、一気に注目を浴びたChatGPTなどの生成AI。2024年に入って、弊社クライアントでも実際に導入・運用が進み、イベントやセミナー運営の様々な部分でAIが活躍し始めています。例えば、以下のようなシーンです。
- 集客メールやSNS告知文のドラフト作成
担当スタッフがゼロから書くよりも、AIにざっくりと趣旨を入力し、生成された文章を微修正するほうが高速なケースが増えました。 - 問い合わせチャットボット
受講者からの共通質問(「参加費はいくらですか」「どこで申し込みできますか」など)に自動応答する仕組みを整えれば、夜間でもスムーズに案内できるメリットが大きい。 - アンケート結果の要約・レポート化
イベント後のアンケート集計をAIが補助してくれるため、担当者は最終的な分析に集中しやすくなります。
5-2. メリットと注意点
メリットとしては、オペレーションや事務作業にかかる時間が大幅に削減され、主催者や運営スタッフがイベントの企画・演出といったコア業務に注力しやすくなることが挙げられます。ただし、情報漏洩のリスク(機密情報をAIに入力してしまうなど)や、AIが誤った情報を混入する可能性には注意が必要です。最終的な確認・修正は人間が行うという前提は、2024年時点でも変わらないでしょう。
5-3. 今後の展望
AIの進化はさらに続くとみられ、イベント開催においても“開催日時や会場をAIが最適化する”といった高度な活用が進む可能性があります。例えば過去の参加データから、どの曜日・時間帯に最も参加登録が集まりやすいかを分析し提案してくれる、AIが企画段階からアイデアを生み出す――といった未来は、もうそう遠くありません。
とはいえ、最終的に「どんな演出やコンテンツを提供し、参加者の心をどのように動かすか」という点は、人間ならではの想像力やコミュニケーション力が不可欠であり、AIとの協業が盛んになるほど、企画・運営のクリエイティブな要素が一層重視される時代がやってくるのではないかと感じています。
6. 2025年に向けた展望:代替わり時代のイベント活用
2024年の動きを振り返ると、企業にとって“次のステージ”へ移行する流れが加速している印象があります。特に「代表交代」「役員刷新」「M&Aによる体制変更」など、経営のバトンタッチが進むと想定される2025年は、イベントやセミナーを活用する場面がさらに増えるでしょう。
- 新社長お披露目イベント
単にプレスリリースで報告するのではなく、社外ステークホルダーや社員を含めて集め、新しい体制やビジョンを直接伝える場を設ける。 - 社内カルチャー刷新セミナー
代替わりで組織風土が変わるタイミングこそ、従業員向けの勉強会やワークショップを開催し、改革意識を高めるチャンス。 - 外部向け事業承継・M&Aの理解促進
株主や顧客に向けて、企業の方向性を丁寧に説明し、信頼を獲得することがポイントに。イベントやセミナー形式で双方向のやりとりをすることで、理解を深めやすい。
弊社としても、こうした代替わり時代に合わせて、より柔軟なイベント企画・運営のサポートを強化していきたいと考えています。「こういう目的があるけれど、何から始めたらいいかわからない」というご相談に対し、オンライン×オフラインの設計からショート動画の活用、AIサポートの導入まで一気通貫で伴走いたします。
7. まとめ
ここまで、2024年に顕著だった7つのトレンド――(1)ハイブリッド開催 (2)ショート動画の普及 (3)個人ブランディング (4)企業の“節目”活用 (5)AIの波 (6)代替わりへの備え――を振り返ってまいりました。
振り返ってみると、コロナ禍からの復興に合わせ、オンラインとオフラインそれぞれの特性が鮮明になり、SNSやAIの進化がビジネス環境に深く浸透し始めていることがよくわかります。そして、企業や個人事業主にとって、イベントやセミナーはもはや“コスト”ではなく“戦略投資”と捉えられるケースが増えました。
- 「オンラインやショート動画で広く集客する」
- 「オフライン会場で深いネットワーキングやブランド体験を提供する」
- 「企業の大切な節目や新体制を外部へ力強く発信する」
- 「AIを活用して運営の効率を高め、より充実したコンテンツに注力する」
これらが相互に連動し、今後もセミナーやイベントが“ビジネス変革の起点”となる動きはさらに加速すると私は確信しています。2025年は、業界の世代交代が進むこともあり、多くの企業が次のステージへの移行を本格的に意識する年になるでしょう。そのタイミングに合わせたイベントやセミナーの需要は一段と拡大するはずです。
もし、「自社に合ったイベント形態を模索している」「節目を活かしたマーケティングを展開したい」といったお悩みをお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひ株式会社ダブルエムにご相談ください。私たちは、これまでの知見とノウハウを総動員し、お客さまが一歩先を進むための最適なプランをご提案いたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。皆さまが2025年に向けて、新たな価値やつながりを創造できるイベント・セミナーを実現されることを心より願っております。これからも、一緒にビジネスの未来を切り開いていきましょう。
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