『集客は誰の仕事?赤字が出たらどうする?思い込みが成功を遠ざける?』セミナー共催で見直したい3つのポイント

こんにちは。株式会社ダブルエムの安井です。

「私はこういう能力を持っている。あなたはこういう能力を持っている。一緒に組んだら面白いことができるのではないか」

コミュニティで盛り上がったこのような会話から始まったセミナー共催が、数ヶ月後には「赤字の責任を誰が取るのか」「集客は誰がやるはずだったのか」という泥沼のトラブルに発展してしまうケースを、私は数多く見てきました。ノリと勢いでコラボレーションを始めて、失敗するパターンが非常に多いのです。

その理由は単純明快です。「いい未来しか描いていない」からです。

一緒に組むときは、「セミナーがもっと広がるのではないか」「ビジネスがどんどん広がってくるのではないか」と、バラ色の未来しか見ていません。しかし、コラボレーションには成功する時もあれば、失敗する時もあります。

今回は、BtoB企業がセミナー共催で確実に成果を出すための実践法則について、私が実際に相談を受けた失敗事例と、その対策を詳しく解説します。

目次

セミナー共催の3つの特性を正しく理解する

まず、セミナー共催(ジョイントベンチャーとも呼ばれます)の3つの大きな特性を理解しましょう。

特性1:お互いのことを知らない層にPRできる

自社が持っているリストと、共催相手のリストは、全く異なる顧客層である場合に大きな効果を発揮します。自社のことは知っているが、A社のことは知らない顧客に対してA社のPRができます。そしてA社の持っているリストは自社のことを知らないため、お互いのリストを交換できるような効果があります。

BtoB企業での実践ケース:

  • IT企業(既存顧客:IT担当者)× 人事コンサル(既存顧客:人事担当者)
  • マーケティング会社(既存顧客:営業部門)× 会計事務所(既存顧客:経理部門)

これにより、広告費をかけずに新規顧客層にアプローチできるのです。

特性2:他社のブランドを借りることができる

1からホリエモンさんのような知名度を築こうと思うと、東大に行って上場企業をつくるなど、非常に高いハードルがあります。

しかし、セミナーで組むことによって、そのホリエモンさんのブランド力を借りることができます。一緒に仕事をすることによって、「あの人はホリエモンさんと一緒に仕事をできる人なのだ」というような、他者の信頼を借りることができるのです。

BtoB企業でも同様に、業界の老舗企業や著名な専門家と共催することで、「あの有名企業と組んでいるなら信頼できる」という印象を与えることができます。

特性3:他社の知見を借りることができる

セミナービジネスにおいて、私はセミナープロデュースの専門家として話をしています。これが、例えば企業出版を専門としている企業と組んだ時、私には出版のノウハウはありません。しかし、一緒に組む相手が出版のノウハウを持っていれば、その方の知見を借りて仕事をすることができます。

BtoB企業での具体的なケース: IT企業が人事コンサルティング会社と共催する場合、IT企業は「システム導入による業務効率化」の専門知識を持っていますが、「組織運営や人材育成」については専門外です。この2社が共催で「DX推進のための組織改革セミナー」を開催すれば、参加者は技術面と人材面の両方から包括的なソリューションを得ることができます。

成功するセミナー共催の3つの法則

法則1:自社にない能力、スキルを持った相手と組む

まず自己分析を行ってください。自社にどのような強みがあるのか、どのような分野が得意なのか。逆に、どのような分野が苦手で、どのような業務をやりたくないのか。それを補完してくれるような相手と組むことが重要です。

BtoB企業における補完関係:

  • IT企業 × 業務コンサルティング会社:技術と業務改善の両面アプローチ
  • マーケティング会社 × 人材育成会社:集客力向上と組織力強化
  • 会計ソフト会社 × 税理士事務所:システム導入と専門アドバイス

法則2:親和性はあるが、商品がバッティングしない相手

顧客層は似ているが、最終的に販売したい商品・サービスが競合しない相手を選ぶことが重要です。

なぜ商品がバッティングすると問題なのか

同じようなサービスを提供する企業同士が共催してしまうと、セミナー参加者は「どちらの会社のサービスを選ぶべきか」という選択を迫られます。結果として、どちらの企業も成約率が下がってしまい、お互いの顧客を奪い合う「共倒れ」状態になってしまいます。

理想的な関係性とは

参加者にとって「どちらか一つを選ぶ」のではなく、「両方とも必要」と感じられる組み合わせが理想的です。

成功する組み合わせの具体例:

  • 会計ソフト会社 × 税理士事務所:顧客層は中小企業経営者で重なるが、「ツール提供」と「専門アドバイス」で役割が明確に異なる
  • CRMソフトウェア会社 × 営業戦略コンサルティング会社:CRM導入を検討している企業は営業戦略も必要とし、営業戦略を見直したい企業はCRMツールも検討する
  • クラウドサービス会社 × サイバーセキュリティ会社:クラウド導入を考える企業はセキュリティ対策も必須だが、提供するソリューションは全く異なる

避けるべき組み合わせ

同じIT企業同士、同じコンサルティング会社同士など、直接競合する企業との共催は避けましょう。参加者は「A社のシステムを買うか、B社のシステムを買うか」という選択を迫られ、どちらの企業にとっても成約率が下がってしまいます。

この点は、多くの企業が落とし穴にはまりやすい部分ですので、十分に注意してください。顧客層が似ているからといって安易に組んでしまうと、最終的にお互いの商品が競合してしまい、共催の効果が半減してしまいます。

法則3:信頼できる相手と組む

これは最も重要な要素です。

「この人は顧客に対する対応が不十分である」「フォローが適切でない」といった相手と組むことは、自社のブランドを下げてしまう可能性があります。この人であれば誰にでも推薦できる、本当に信頼できるという人と組むようにしてください。

陥りがちな3つの罠と実際の失敗事例

罠1:思い込みで話がスタートするパターン

私のところに寄せられる相談の中で、よくあるトラブルがこれです。何を相手に依頼して、何を自社が担当するかが曖昧なのです。

「集客は誰が担当するのか」「ランディングページは誰が作成するのか」「原稿制作は誰が行うのか」といった、お互いの価値観の思い込みがあります。

何を役割として行うか、どのようなことを期待しているかという最初の話し合いが、きちんとされていないままスタートして、「これほど多くの業務があるのか」ということに蓋を開けて驚いてしまうパターンが非常に多くあります。

業務の詳細部分まで取り決めを行ってください。

罠2:責任の所在を明確にしない

50人集まったらこのセミナーが黒字になるという損益分岐点があったとします。それが達成しなかった時、50人集客してようやく黒字になるところを実際蓋を開けてみたら、30人しか集まらなかった。その時に出た赤字をどうするかという問題があります。

会場を借りてセミナーを開催するときに、会場費は絶対に先に出て行く費用です。他にもチラシを作成したり、ランディングページを作成したり、場合によっては広告費もかかっているかもしれません。

この赤字が出たときに誰がどれくらい負担するか。単純にその売上も折半、赤字も折半という形もあれば、「新しい顧客を集めてくれるだけで十分価値があるので、最低限その会場費が赤字になってしまうようであれば、当然講師側で負担する」という講師もいます。

成功するセミナー共催の実践手順

ステップ1:小さく始めて信頼関係を構築

いきなり大きな仕事を、初見の相手と行わないようにしてください。

推奨するのは、小さな仕事を一緒に行って、それで信頼できそうな相手であることや、自分自身が相手に貢献できること、相手の方も自分と仕事をして喜んでいただけることなど、そういった信頼関係や仕事の実績が見えてきた時に、初めて大きな仕事をするということです。

正直なところ、実際に仕事をするまでわからないことが多いのです。その人がどのような実力を持っているか、その人が顧客に対して、どのようなフォローをしてくれるかということは分からない。未知数な部分があるので、小さく始めて大きく育てていくことを推奨しています。

ステップ2:役割分担を明確に決める

まず最初に役割を決めます。誰がどのような順番で、どのような分野の負担をするか、仕事の割り振りをするかというところを決めます。

具体的な確認事項:

  • 企画・コンテンツ作成の担当分担
  • 集客活動の目標数値と責任範囲
  • 資料作成、当日運営、アフターフォローの担当
  • 費用負担と売上分配の詳細

ステップ3:契約書を作成する

しっかりと書面に落とし込んで、赤字が出たとき、どうするか、黒字の時は、どのように分けるかということを、しっかり決めて、契約書に落とし込んでいきます。

ステップ4:「報告・連絡・相談」を徹底する

実際始めてみて、様々なことが起きます。想定していること以外のことが起きたりするので、その時に非常に重要になってくるのが、「報告・連絡・相談」をしっかりしていくことです。

きちんとその仕事は行っているが、それをちゃんと報告しなかったことによって、信頼を損ねてしまったり、話がこじれてしまうことが多くありますので、しっかりその点を気をつけるようにしてください。

まとめ

セミナー共催は、相乗効果が高く、非常に広がりを見せるビジネス手法です。しかし、きちんと押さえておくべきポイントを押さえておかないと、失敗するパターンが非常に多いのも事実です。

成功するための3つの法則

  • 自分にない能力を持った相手と組む
  • 親和性はあるが商品がバッティングしない相手を選ぶ
  • 信頼できる相手と組む

陥りがちな3つの罠を避ける

  • 思い込みで進めず、役割分担を明確にする
  • 責任の所在を事前に決めておく
  • 必ず契約書に落とし込む

「一緒に組んだら面白いことができるのではないか」という甘い考えではなく、しっかりとした準備と取り決めのもとで、まずは小さく始めて大きく育てていくことが成功への道筋です。

セミナー共催でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談くださ

株式会社ダブルエムでは、BtoB企業様のセミナー企画・運営・共催パートナー選定まで、トータルでサポートしております。失敗しないセミナー共催の進め方について、具体的なアドバイスをご提供いたします。


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